デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?

IT技術の発達によって、日々の多くのシーンでデジタル化が進んでいます。2020年以降、新型コロナウィルスの影響によってリモートワークが急激に拡大し、デジタル化は更に加速しています。2021年9月にはデジタル庁も発足し、デジタル化の波は留まるところを知りません。

そんな中、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という言葉を耳にしたり目にしたりする機会が増えたかと思います。デジタル庁の発足にも見られるように、国策として、このデジタルトランスフォーメーションに取り組んでいるからこそ、テレビや新聞などでも多く触れることがあると思います。

ところが日本では、その意味や本質、具体的な内容を知らない人が多くおります。また、理解したつもりで、中途半端な認識でいる方も少なくありません。
そこで、この「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という言葉について、改めて解説していきます。

「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の言葉の意味

「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という言葉は、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良くさせる」という考え方のことを指し、2004年にスウェーデンのエリック・ストルターマン教授によって提唱された概念です。それから15年以上が経った今、実社会に合わせて採り上げられた言葉、ということになります。

経済産業省が2020年末に公開した「DXレポート」の中では、デジタルトランスフォーメーション(DX)は「組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化」或いは「“顧客起点の価値創出”のための事業やビジネスモデルの変革」と定義づけられています。
また、同省が2019年に公開した「DX推進指標」には、DXを①デジタルトランスフォーメーション、②デジタライゼーション、③デジタイゼーションの3段階に分けてDX推進の簡単な自己診断を実施できるとされており、デジタルトランスフォーメーション(DX)の達成には、「個別の業務・製造プロセスのデジタル化」を意味する「デジタライゼーション」と、「アナログ・物理データのデジタルデータ化」を意味する「デジタイゼーション」が必要であると述べられています。

「トランスフォーメーション(Transformation)」が直訳で「変革」を意味することからもわかるように、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」は「個別の業務・製造プロセスのデジタル化」や「アナログ・物理データのデジタルデータ化」ではなく、あくまでも「組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化」、「“顧客起点の価値創出”のための事業やビジネスモデルの変革」であるため、混同しないことが重要です。

ちなみに、デジタルトランスフォーメーションは「DX」と略されますが、英語表記の「Digital Transformation」を単純に略すと「DT」となります。しかし「Trans」は「X」で表すことが多く、デジタルトランスフォーメーションは「DX」と略されるのです。

なぜ、今DXが注目を浴びているのか

DXの意味が分かったところで、ではなぜ「今」注目を浴びているのか、疑問に思いませんか?世の中は着々とデジタル化が進み、身の回りにもデジタルなツールが溢れています。
そんな中、「今」DXが注目されるにはその背景と理由があります。

まずは、「IT技術の加速度的な進歩」という背景があります。以前より進歩を続けてきたIT技術ですが、ここ数年で、ネットワークの高速化やAIによるビッグデータ解析など、多面的にビジネスに関わる技術が加速度的に成長しています。
そして、「消費行動の変化」という背景です。「モノ消費からコト消費への移行」などと良くいわれますが、多くの消費者が、買うことそのものよりも「買うことで得られる体験」をより重視するように変化しています。
最後に、「法整備」という背景です。過去はなかなか法整備が整わず進められなかったDXも、ようやく国が本腰を入れたことで進められるようになってきています。

また上記の背景を元に変革する社会の中で、特に日本が「今」DXに注力する大きな理由は、「海外競争力の低下」という理由があります。過去は、「良いものを作れば売れる」という神話があり、確かに日本の製品は海外でも多く好まれてきました。しかし、デジタル化の進歩、水平分業化による製品の標準化によって海外諸国が品質面で追随、更に日本よりも安価で製造可能であることから価格面で押され、差別化要因が乏しくなり、海外競争力が低下してしまったのです。

その他にも、「働き方改革」に資する業務効率化や生産性の向上を目的とした取り組みや、事業の多角化を鑑みたDX推進等、まさに「今」進めるべき背景や理由が揃ってきているのです。

DX推進のためのポイントとは

2020年末に経済産業省が発表した「DXレポート」によると、DXの推進にあたっては「組織戦略」「事業戦略」「推進戦略」といった3点を意識することが重要であるとされています。

まず、組織戦略についてです。企業のDXを成功させるためには企業全体が組織として連携を強固にし、推進することが非常に重要です。従業員間のコミュニケーションを円滑にしすることはもちろん、DXの実現性を高めるために、経営層が各部門の間をつなぐ役割を果たす必要があります。そして、何よりそのコミットを、経営層が持つことです。

次に、事業戦略についてです。DXは「組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化」と「“顧客起点の価値創出”のための事業やビジネスモデルの変革」の2つを主に指しており、一般的には既存事業の効率化を実現するフェーズを通過した上で、残った余剰の資金や人材を、顧客を軸とした新事業創出に当てていくという順序になります。
現在、国内の殆どの企業において、IT予算はレガシーシステムの運用や維持費用に充てられており、本質的なDXを推進することによって、既存事業の業務効率化や生産性向上に寄与するとともに、資金や人材といったリソースを確保することにもつながります。
この方法を取ることで、企業の経営体力を維持した状態で、大きな投資を考えることなくDXを実行していくことができます。

そして最後に、推進戦略です。推進の方向性としては、「小さく始めて、段階的に全社的な取り組みとする」を意識することが重要です。
日本では、伝統的にウォーターフォール型の推進体制をとるビジネスモデルに基づき事業が進むことが多いですが、これでは、修正したいことが発生した際に、柔軟に変更を加えていくことが非常に困難です。簡単に言うと「トライ&エラー」を許容できない推進方法になってしまいます。
DXの推進においては、開発途中での要件や仕様の変更可能性が高く、多くの企業にとっては「DXがどういった形で達成されるか」が未知数であるため、当初定義した要件が間違っていないことを前提としてDXに取り組むことは非常にリスクが高いです。
後戻りできない状態に陥らないためにも、まずは重点とする、もしくはDXが推進しやすい部門を選定して、そこでDXを実現してから取り組みを全社に横展開していくなど、早くに改善点を見つけて修正を繰り返し続けながら事業を進めることが重要となります。効率よくDXを実現するためにも、ウォーターフォール型の推進体制を見直し、アジャイル型の推進体制に移行できるように、段階毎にスピード感を持ってDXに取り組むことが重要です。

まとめ

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、新型コロナウィルスの流行を通じて、その重要性が日本でも改めて認識されてきています。
しかし、他の先進国と比べて日本は、DXが進んでいるとはまだまだ言えない状況です。DXが実現させることができれば、企業は、本質的に顧客に求められている価値を提供をすることができる上、企業価値を更に高めることができます。
DX実現のためにも、今までの業務に対する考え方を180度転換させることが必要になるときもあるでしょう。その際には、今までやってこなかった方法に取り組む必要があり、新しい風を呼び込む必要があります。働き方の変化や、新たなサービスによる社会の変化を逃さずに、しっかりと新しい風を取り込んで、変化を受け入れて推進していきましょう。

【執筆者】
川原翔太
株式会社WhiteBox 代表取締役
株式会社CEspace 取締役
情報経営イノベーション専門職大学 客員教授
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